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EduTalk

教育に関するテクノロジーやスタートアップ、考えたことについて発信中。

Whatsappはなぜ欧米で競合アプリとの競争に勝てたのか

 
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WhatsAppはなぜ欧米で成功したのか(なぜ日本では成功していないのか)

こちらの記事を読んで、要はSMSが主流だった海外でSMSを置き換えるサービスとしての立場を獲得したことでWhatsappは流行ったという分析がされていて興味を持ったのでもう少しそこの時代背景や他のサービスはどうなのかということを詳しく調べてみました。

Appstore登場(2008年7月)以前:

上記の記事にもある通り、この間はSMSがコミュニケーションの主流でした。しかし2007年にBlackBerryのユーザー同士なら無料でメッセージがやり取り出来るサービスBlackBerry Messangerが登場し、SMSの置き換えをしていきます。

Appstore登場後(2008年7月)以降:

2008年7月にAppstoreが公開されましたが、このすぐ後の時点でもすでにメッセンジャーのアプリは結構ありました。

しかしそのほとんどは、AOLのAIMのようにAOLアカウントを持っているユーザー同士しかコミュニケーションが取れないものか、IM+のようにAIMのような単体のメッセンジャーを複数まとめて管理出来るようにしたものでした。

この後、2009年5月4日に、BlackBerry Messangerと同じくSMSの置き換えを狙って登場したのがWhatsappです。当初は、クラッシュが多く友人ぐらいしかつかってくれなかったようなのですが、2009年9月に2009年7月に発表されたiPhoneのプッシュ通知を組み入れたWhatsapp2.0をリリースしたことでアクティブユーザー数を一気に25万人まで増やします。

Whatsappと同様にSMSの置き換えを狙っていたメッセンジャーサービスでは"Ping!"というものがあったのですが、Whatsappは下記のように様々な点でこのサービスを超えており拡大を続けていきます。

  • Facebookとの連携
  • 安定、早い
  • シンプルなUI
  • 携帯の連絡先を自動的に取り込んでくれる

この後、メッセンジャーアプリは次々と立ち上がっていき

2010年3月:

  • KakaoTalkリリース

2010年10月:

  • Tangoリリース(10日間で100万人のユーザーを集め話題になる。)
  • Kik Messanger(15日間で100万人のユーザーを集め話題になる。)

2010年12月:

2011年1月:

  • WeChatリリース

と現在の主要プレイヤーのほとんどがこの時期に登場しています。(LINEはちょっと遅れて2011年6月)

この中で、欧米を主戦場にしているのはTango、Viber、Kik Messangerです。

そこで、この3つのライバルサービスが現時点でWhatsappに(ユーザー数で)負けている理由を書いていきます。

Kik MessangerがWhatsappに現在負けている理由

Kik Messangerの場合はBlackBerry上とiPhone上どちらの端末でも、相互のやり取りが出来ることを売りに登場し、上記の通り、2010年10月のリリース後、クチコミで一気に100万ダウンロードを達成しました。

しかし、2010年11月にBlackBerryより特許侵害で訴訟を起こされ、Kik MessangerはBlackBerryのプラットフォームから排除され、彼らの売りは消えてしまいました。

Kik Messangerの創業者は元々BlackBerry出身で、彼らから支援も受けていたため、この訴訟はKik Messangerにかなりの打撃を与えます。

その後、2011年3月にiPhoneAndroid向けに新しいバージョンのアプリをリリースし、同時に800万ドルの資金調達を行い、HTML5を利用したKik Cards(地図や、Youtubeプレイヤーなどの様々なアプリがカードとして使える)というKik Messengerユーザー向けのプラットフォーム開発に専念していきます。

結果として2012年の11月末までで、ユーザー数は3000万人まで増えたものの、メッセンジャー自体の機能は何も開発されないままになります。

この2012年11月末までの間に、Whatsappはどんどんとシェアを広げます。

2012年12月時点でのメッセンジャーアプリのシェアをまとめたTechCrunchの記事によると、 例えばWhatsappはスペイン97%、イタリア81%、ドイツ84%とかなりのシェアになっていますが、Kikはヨーロッパ含めほとんどの地域で1〜2%のシェアしか占めていません。

参考: The Reality Of The Global Messaging App Market: It’s Really Freaking Fragmented

 

このように、

  • スタートが遅かったこと
  • 裁判沙汰で急ブレーキがかかったこと
  • HTML5へのシフトや、付加サービスの開発にリソースを割きすぎ、肝心のメッセンジャーをおろそかにしたこと。

が、WhatsappにKikがなれなかった理由だと思います。

ViberがWhatsappに現在負けている理由

Viberの大きな失敗は、Android版の開発で遅れを取ったことです。

Viber自体のリリースは、2010年12月とこの時点でWhatsappには1年半以上の遅れをとっており、この後アンドロイド版を2011年5月にリリースするものの当初5万人までしか利用出来ない制限があり、正式にAndroidがリリースされたのが2012年7月19日です。

こちらもリリースに時間を取っている間に大きく差を広げられてしまったと言えます。

また、元々のスタートがSMSの置き換えではなく、Skypeを置き換えるというところのためメッセンジャーに特化されたWhatsappに比べてインターフェースが複雑になったこと。海外では携帯の通信料が従量制の場合が多く、Whatsappに比べて帯域を多く取るViberは料金が高めになってしまうこと。も理由として挙げられると思います。

またWhatsappでは2011年2月時点でグループチャット機能が既に追加されているのに対し、Viberは2012年7月のリリースとかなり遅れています。

また、現在ユーザー数2億8000万ですが、月間アクティブユーザー数は1億人となっており、Whatsappのユーザー数4億5000万人、日間(月ではなく日!)アクティブユーザー数3億人に大きく水を開けられています。これに関しては理由がはっきりしないのですが、Skype自体のiPhoneアプリiPadアプリの質が高くなってきており、一旦Viberに来たユーザーがそちらに流れてしまった、チャットに比べて電話は使う機会が少ないといった理由が考えられます。

Tangoについて

Tangoについては、Viberに近いVideoメッセンジャーとして始まっていて2010年10月にリリースしてから10日で100万人のユーザーを集めています。しかし、文章でのチャット機能の実装をしたのは2012年の始めと、少し遅れていること途中からSNS化をはかりゲームなどを入れていったこと(複雑化)、広告を入れて行ったことなどが現在ユーザー数1億5000万人とWhatsappに離されている理由かと思います。しかし、Tangoの場合は収益性から見ればWhatsappより成功しているのではと見られ、実際にCEOがWhatsappのビジネスモデルでFacebookはどれだけ収益を上げていけるのか。と疑問視するようなコメントも出しています。

現時点で、Whatsappのユーザー数が一番多い理由

ここまでのまとめとして、Whatsappが現時点でユーザー数でトップを走っている理由は、

  1. Whatsappの考えとして語られている通り、SMSの完全な代替を最初から継続して狙っており、シンプルさを保ったこと。
  2. 他のサービスに比べてローンチが早かったこと
  3. 他のサービスのようにHTML5でのサービス開発やゲームなどの開発に時間を割かず、核となるサービスの安定度、速さの改善、新機能開発に注力出来たこと。

補足1: Whatsappの初期のブログのタイトルを見ると"because SMS is so 2008"という副題がついており、最初からSMSの代替サービスを狙っていることがはっきり書かれています。またブログの記事からBlackBerry Messengerを初期段階では強く意識していたことが分かります。

補足2: アプリ上に広告を載せないに関してはViberも同じです。

補足3:有料だったから信頼性が高かったということはなく、実情はユーザーが一気に増えるとお金が足りなくなるので有料化して拡大を一時押さえてたようです。

 

が言えそうです。

得られる教訓は?

インフラを置き換えるようなサービスをするならとにかくシンプルさを保って、核となる機能(Whatsappなら速度、安定性)を最高のものにしていくことが大切なようです。

(といってもインフラを置き換えるようなサービスを一から作る機会はほぼない気がしますが。。)

Whatsappの場合は広告宣伝もやらなかった訳ですが、これも広告宣伝をするとそちらに目が行き始め肝心のサービス開発がおろそかになるだろうから、という経営者の方針です。とにかく全てをサービスの質向上に注ぎ込んだのです。

ただKik Messengerが長い助走期間を経て今どんどんと盛り返し始めている(現在ユーザー数1億3000万人)ことを見ても、一旦WhatsappはExitでゴールを迎えましたが、この市場で勝てるプレイヤーは他にもたくさん出てくると思います。

メッセンジャーアプリ市場の歴史

最後に見づらいですが、簡単に歴史を

2007年:

2008年7月:

  • Apple Appstoreの登場

2009年5月4日:

  • Whatsappリリース

2010年3月:

  • KakaoTalkリリース

2010年10月:

  • Tangoリリース(10日間で100万人のユーザーを集め話題になる。)
  • Kik Messanger(15日間で100万人のユーザーを集め話題になる。)

2010年12月:

2011年1月:

  • WeChatリリース

2011年2月22日:

  • Whatsappにグループチャットが追加

2011年3月:

  • Kik Messangerが800万ドルを調達

2011年4月:

  • Whatsappが800万ドルを調達

2011年5月:

2011年6月24日:

  • LINEリリース

2012年3月:

  • WeChatのユーザー数が1億人を突破

2012年7月19日:

  • Viber Android版を正式リリース、グループチャットを追加

2012年7月24日:

  • Viberのユーザー数が9000万人を突破

2012年9月:

  • WeChatのユーザー数が2億人を突破

2013年1月18日:

  • LINEのユーザー数が1億人を突破

2013年7月17日:

  • Whatsapp(ユーザー数2億5000万人)、iPhone版も初年度無料に変更

2013年10月:

  • WeChatがユーザー数が6億人を突破

2013年11月23日:

  • LINEのユーザー数が3億人を突破

2014年2月:

  • 楽天Viberを$900M(ユーザー数2億8000万人だが月間アクティブユーザーは1億人)で買収
  • FacebookがWhatsapp(ユーザー数4億5000万人で日間アクティブユーザーが3億1500万人)を$16Bで買収