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2017年版:最近の語学学習スタートアップ界隈の4つの大きな変化を整理する

久しぶりの投稿です。

僕がリンガルボックスを立ち上げてから後数ヶ月で5年が経過しようとしています。リンガルボックスの方は、サポート機能(後日記事を書く予定)を公開したことや、PayPalからいつでもプラン変更可能にしたことなどで生徒、講師のサポート時間を大幅に減らせました。そんなわけで最近は引きこもって開発を進めています。さて、そうして一人でゆっくりと進めている間に語学学習業界では色々な変化が起こってきました。本日はそれについて書いていこうかと思います。

大きな変化その1: WebRTCを利用したサービスの増加

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2014年のCamblyの登場移行、2015年にはOKpanda英会話や日本のネイティブキャンプがGoogleによる新技術WebRTCを実装したサービスを提供し始めました。WebRTCが何か簡単にいうと、プラグインを導入しなくてもブラウザ上で簡単にビデオ通話やデータのやり取りが出来る技術で今ではFacebookメッセンジャーにも導入されているので知らずに使っている方も多いかと思います。最近では企業間コミュニケーションをネット上で完結するサービスや、カスタマーサポートなどにも続々と導入されています。

しかし、技術的な導入ハードルはそれなりに高く、これまでスカイプに頼ってきた大きなオンライン英会話スクールにとっては中々切り替えが出来ない要因となっています。大手は導入ができそうですが、以前のブログ記事で書いたとおり1日1回や2回という生徒が受ければ受けるほど利益が減ってしまうモデルが日本では主流(例えば中国では回数性が普通)です。そのためWebRTCを導入してレッスンを受けやすくすると利益率が減る懸念も日本では未だ数社しか導入企業がいない理由となっているのではと個人的には思っています。

日本ではオンライン英会話で唯一上場しているレアジョブでも時価総額は40数億程度ですが中国の51Talkはニューヨーク証券取引所に上場して時価総額が350億円程度、子供向けのサービスではVipkidが1億ドルを調達したりと大きな企業も出てきています。

実は、最近GoogleはHangoutのAPI提供を中止してビジネスコミュニケーションに集中する意向を示したり、Skypeも個人向けサービスではなくビジネス・コミュニケーションに力を注いでいて個人向けサービスのAPI提供は限定的です。そのため企業として利用する場合は双方使い勝手が悪く、今後WebRTCへの導入数は加速すると思われます。リンガルボックスでも

大きな変化その2: チャットを利用した英語学習サービスの増加

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最近のもう1つの大きな流れは、FacebookメッセンジャーやLINEへ埋め込むボットタイプの学習サービス、または有人で英語を教える学習サービスの増加です。10代を中心にチャットをベースとしたコミュニケーションは、ブログのような活字よりも好まれるようになってきています。またLINEやFacebookでのチャットの返信をちょっとしたすきま時間を学習に利用できることもこうしたサービスのメリットです。ボットでは例えばEdwinというFacebookボットが代表的な例です。
有人のものだと、日本のランゲートが提供するHiNative TrekやTechstars出身のSpoken、これも日本のサービスですがEigoooなどが代表的です。

どちらかというと、Eigoooのような日常英会話を学ぶサービスよりもNative TrekやTechstarsのようにビジネス英語をテーマを絞って学ぶというようなもののほうがチャット形式の学習サービスには合っているかもしれません。

大きな変化その3: AIを利用したサービスの増加

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もう一つ新しい変化がAIを利用したスタートアップの増加です。例えば最近Y Combinatorに採択されたSpeakや、1.5億円を調達したTerraTalkなどがこれに当たります。AIを利用したサービスとボットを利用したサービスは被るのですが、AIの場合は単純なボットとは異なり生徒の学習データによってより適切なサービスを提供できるように成長するという違いがあります。AIを利用したサービスはまだまだ質の高いものは少ないのですが、今後質が上がっていくことで特に初級者から中級者の利用者が増えるのではないかと個人的には思っています。

大きな変化その4: マイクロラーニングの台頭

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マイクロラーニングはチャンキングという概念にもとづいており、その名の通り、小さなコンテンツを通して学習を行うことです。チャンキングが何か簡単にいうと、人が学ぶ時最初は散らばった情報を上手く統合することが出来ず混乱するのだけど、ある程度学習を継続して進めることでその散らばった情報が統合され、理解という状態につながるとう考え方です。

数学、プログラミング、英語などを学習して出来るようになったという方には割と理解しやすい概念なのではないかと思います。例えばプログラミングを学ぶ時、最初は変数、for文、Switch文、オブジェクト指向MVCなどなど新しい概念が出過ぎて混乱します。しかし、それを押し通してプログラミングを書いていけば分かったという瞬間が訪れます。

また、人は1度に7つまでしか記憶が出来ないと言われていますが、一度に大量のことを学ぶのではなく、小さく分けて学ぶことで記憶が定着しやすく、飽きづらいということもマイクロラーニングのメリットです。

チャットのスキマ時間を学習にも言えるのですが、これを応用して数分で終わるような一口サイズのコンテンツを大量にこなすことで、最終的に大きな成果を出そうとするサービスが増えてきています。

語学でいうとDuolingoが筆頭と言えますし、こちらもSpeakと同様Y Combinatorに採択されたサービスでPyというプログラミング学習サービスはDuolingoに近い一口サイズのコンテンツを組み合わせたサービスを提供しています。

まとめ

その他、長く続いている流れとしてアダプティブラーニングや間隔反復を利用した学習サービスもあります。語学やプログラミングの学習サービスは今後もどんどん進化が進んでいくと思うので、リンガルボックスでも上手く流れに乗りつつ良いサービスを提供出来ればと思います。また、現在教育サービスを考えているという方にも今回の記事が参考になれば嬉しいです。